40代男性「親知らずが痛い。左上の奥歯も腫れるときがある」

2023年6月15日 2:28 pm

根が割れた歯を抜いて人工の土台を利用した「インプラント治療」で補い、親知らずの抜歯や虫歯治療により、口腔内全体を健康的にした症例

ご相談内容

「左下の親知らずが昨日から痛い。左上の奥歯も調子が悪いときに腫れる」とご相談いただきました。

カウンセリング・診断結果

拝見したところ、左下の親知らず(第3大臼歯/8番)の周りに炎症が起きる「智歯周囲炎(ちししゅういえん)」が認められました。
また、右下と左上にも親知らずが残っており、将来的に同じように痛みが出る可能性が高い状態でした。

調子が悪いときに痛みが出る左上の奥歯(第1大臼歯/6番)に関しては、歯の根の破折が確認されました。
歯を支える骨が溶けて、歯と歯ぐきの境目の溝「歯周ポケット」も10ミリと深くなっており、残すことが難しい状態でした。

その他、上の真ん中の前歯2本(左右中切歯/1番)および右上の奥歯2本(第2小臼歯/5番、第1大臼歯)にも虫歯が生じており、治療が必要と診断しました。

患者様からは「歯科医院は2、3年ぶりに来た。困っている部位の治療だけで良いが、他にも悪いところがあれば提案してほしい」とお話いただきました。

行ったご提案・治療内容

残っている3本の親知らずに関しては虫歯も認められたため、残しておくメリットがないこと、このまま放置すると炎症が進行して周りの歯にも影響を及ぼすリスクがあることをご説明し、抜歯に同意いただきました。

左上の奥歯に関しても同様の理由で抜歯をご提案し、人工の土台を利用した「インプラント治療」で抜歯部位を補う治療をおすすめしました。
歯を補う方法には、両隣の歯を削って橋渡しのように歯を入れる「ブリッジ」や、取り外し式の「入れ歯」もありますが、前後の天然歯に負担がかかります。
また、ご年齢や食いしばりの癖なども考慮すると、前後の歯も今後喪失するリスクがあるため、抜歯部位を単独で治せるインプラント治療が適していることをご説明し、同意いただきました。

インプラントの治療部位に関して、頬側の骨が溶けて減少しており、また鼻の空洞「上顎洞(じょうがくどう)」までの距離も短く、インプラントを定着させることがやや難しい状態でした。
そのため、太く短いタイプの「ショートワイドインプラント」を用いて、限られた骨量で安定を図れるよう努めました。

上の前歯および右上の奥歯の虫歯治療に関してもご了承いただき、治療を行いました。

上の前歯は口を開けたときに目立ちやすく第一印象にもつながるため、自然な色味を再現できるよう注力しました。
虫歯を取り除いた後、透明感が出てしなやかな土台「ファイバーコア」をセットし、仮歯で歯の形や噛み合わせを確認しました。
最終的な被せ物は、天然歯に近い見た目の「オールセラミック」で、周りの歯と色が馴染むよう丁寧に作製しました。

右上の奥歯は、虫歯をしっかり除去してから金属の詰め物「インレー」で修復しました。
上記の治療と並行して、歯ぐきのケアや全体のクリーニングも同時に行いました。

治療期間の目安

10ヶ月(初診からインプラント終了まで)

治療回数の目安

約25回(クリーニングなども含む)

治療費総額の目安

800,000円

術後の経過・現在のご様子

口腔内全体が健康的になり、見た目も自然な仕上がりになりました。
噛み合わせも問題なく、良好に経過しています。
患者様にも「前歯も綺麗になり、奥歯も問題なく噛めるようになって嬉しい。今までなかったメインテナンスの習慣がついたのも良かった」と大変お喜びいただきました。

治療部位を長くお使いいただくため、現在も3ヶ月ごとの定期的なメインテナンスでご通院いただいています。
残っている右下の親知らずの抜歯も、これからタイミングをみて行う予定です。

この治療のリスクについて

・外科処置後に腫れ、出血が続く場合があります
・外科処置後に痛みが長引く場合があります。必要に応じ痛み止めを併用します
・メンテナンスを怠ったり、喫煙したりすると、お口の中に大きな悪影響を及ぼし、インプラント周囲炎等にかかる可能性があります
・糖尿病、肝硬変、心臓病などの持病をお持ちの場合、インプラント治療ができない可能性があります
・高血圧、貧血・不整脈などの持病をお持ちの場合、インプラント治療後に治癒不全を招く可能性があります
・噛み合わせや歯ぎしりが強い場合、セラミックが割れる可能性があります

BEFORE

AFTER